【強度行動障害】どんな支援がある?原因や対応の仕方など

チルプレ

チルプレ記事 2023.9.2

知的障害や自閉症スペクトラム障害との併発があるとも言われている、強度行動障害。
強いこだわりや自傷行為など、特徴的な特性が見られます。
・強度行動障害に見られる特徴的な行動
・なぜ強度行動障害が起こるのか
・強度行動障害に向けた支援の種類
上記3点をメインに説明していきます。

「強度行動障害ってなに?必要な支援」

まずは、強度行動障害に見られる症状をまとめていきます。
診断の基準についても見ていきましょう。

「強度行動障害にはどのような症状が見られる?」

強度行動障害に見られる症状や特徴について見ていきます。
周囲の人に影響を出してしまうこともありますので、場合によっては支援を利用することも検討しましょう。
・こちらが止めても止めきれないほどの、強いこだわりを持っている
・強い自傷行為
・強い他傷行為
・物を壊してもらう
・椅子に座っていられなかったり食器を投げたり、食事中の行為
・睡眠の時間が狂ってしまう/ベッドで寝ていられない
・排泄物を投げたり手でこねたりする
強度行動障害では、上記のような行動が見られるとされています。
こうした障害が出てくる年齢というのは、人によって異なるとのこと。
ただ、思春期以降の時期にこうした特徴が大きく出始め、18歳周辺の時期から落ち着いてくると言われています。

「強度行動障害の診断基準は?判断のボーダーライン」

厚生労働省は1993年から「強度行動障害判定基準表」と「行動援護の判定基準表」というものを示していて、これらを基に判定しています。
「強度行動障害判定基準表」では、先ほど紹介した特徴的な行動を11の項目としてあり、それらが1日に何度発生しているのか、頻度を1点・3点・5点と点数化して表現します。
こうした出された点数が10点を超えた場合、強度行動障害と判定するというシステムです。
実は「強度行動障害」という呼び名は医学的な診断名ではなく、支援者の間で使われている言葉です。
点数化して評価していくことで、個人にあった支援をしていくことを目的としています。

「【原因】なぜ強度行動障害が起こる?生まれつきではなく環境?」

18歳前後で次第に落ち着いていくと言われても、周囲にまで影響を及ぼすほどであれば、原因を追究して何とか支援していきたいですよね。
ということで、ここでは強度行動障害の原因を見ていきます。
強度行動障害というのは、こだわりなどへの執着や感覚の過敏さなどが環境と上手くいっていないなど、対人やその場に関して嫌なイメージが高まることが、原因と言われています。
また、知的障害の程度が重かったり、自閉症の特徴を持っていたりという方に多いとも言われています。
しかし、実のところは強度行動障害について分かっていないことが多いというのも事実です。
本人も周りを困らせようとしているわけではなく、困った環境に追い詰められた結果として、強度行動障害に見られる行動をしています。
本人が困っている合図、として受け止めることも大切です。
より詳しい内容は、以下の全国地域生活支援機構のページで解説されています。
参考資料はこちら

「強度行動障害への対応|政府の【支えるための5つの原則】」

周りの人に対しても影響を出してしまうことがあるということで、どのように対応していくべきか迷っている方もいるでしょう。
先ほどの章でも説明した通り、本人と周囲の環境の相性が悪いことも、強度行動障害を起こすひとつの原因と言えます。
このことから、厚生労働省では「強度行動障害のある人を支えるための5つの原則」というものを示しています。
参考資料はこちら

「5つの原則① 安心して通える日中活動」

1日4時間以上を目安として、週に5回程度の日中活動を行うようにしましょう。
自宅でない場所であっても、落ち着くことのできる場所に通うことが良いとされています。
長期休業の間には代替えで通えるスペースを確保しておくこともポイントで、本人の健康や安全性などへの配慮もできる場所であることが必要です。

「5つの原則② 自宅の物理的構造化」

難しい単語のような気がしてしまいますが、要は“自室を作って、防音などの管理もしながら周囲の環境に対応しよう”という話。
強度行動障害の方というのは周りからの刺激を感じやすく、そのひとつずつがストレスとなることもあるでしょう。
そういったストレスの基となるものから少しでも守られることで、気持ちの安定に繋がるということです。

「5つの原則③ 一人で過ごすことのできる活動」

先ほどは「落ち着くことのできる場所に通うことも大切だ」という解説をしました。
しかしその一方で、一人で過ごす時間を作るということも大切だと言われています。
とはいえ、一人で過ごす状況を作ればそれでよいということではなく、一人で過ごすスペースと、一人で過ごすときにやることを準備してあげることも必要です。

「5つの原則④ 定着したスケジュールの用意」

毎日、日課を繰り返していくことを家族も把握し、それを見守ることが出来るというのも大切なことです。
そして、スケジュールに変更が生じた場合には、前もって本人に伝えるようにしましょう。
スケジュールが変わったということを把握しておけることで、本人も見通しを立てて活動することができるようになります。

「5つの原則⑤ 移動手段の配慮」

電車や車など、外出をするときには何かしらの交通手段を利用するはずです。
移動の際には、本人にとって刺激が少なく、安心して利用できる移動手段を準備することも大切です。
せっかく落ち着ける場所を用意したとしても、そこまでに移動するタイミングで刺激が加わってしまえば、移動している最中でストレスを感じてしまう可能性があります。

「強度行動障害の支援は【在宅or施設】特性によって選ぼう」

自傷行為や他傷行為、食卓での行為など、いくら理解があったとしても、家族が全ての面倒を見るということが難しい場合もあるかと思います。
そういったときに利用できる、強度行動障害の方に向けた支援があります。
自宅での支援、施設での支援というように、大きく2つに分けて見ていきましょう。

「自宅で受けられる支援【行動援護や訪問介護など】」

自傷行為や他傷行為、食卓での行為など、暮らしのなかで特徴的な行動が見られる方に、危険な行為を止めるための援護を行う、行動援護と呼ばれる支援があります。
また、重度の障害がある場合には、重度障害等包括支援や、重度訪問介護の利用も可能です。家族だけで悩みを抱え込むことをせず、支援を利用しながら同居する人のストレスケアもしていきましょう。

「施設で受けられる支援【ショートステイやグループホームなど】」

自宅だけでなく、施設での支援を受けることも大切です。
施設入所支援では、24時間体制で身の回りの面倒を見てくれます。
夜間のお世話もしてくれるので、ベッドに落ち着いて寝ていられないなどの特徴を持つ方も、安心して支援を受けられるでしょう。
また、介護を担当する人が不在で介護ができない状況になる場合、ショートステイという形で施設のなかで時間を過ごすということも可能です。
短期入所とも言われ、介護をする人の負担を軽くする意味合いもあります。
グループホームの利用という方法もあり、家庭や介護をする人の事情とすり合わせ、適切な支援を利用できるとイイですね。

「強度行動障害の支援は?原因や対応の仕方|まとめ」

ここまで、強度行動障害に見られる特徴や考えられる原因、支援を解説してきました。
自傷行為や他傷行為、強いこだわりがあったりベッドに寝ていられなかったり、様々な特性のある強度行動障害。
もちろん家族が介護をするという方法もあるのですが、介護をする人の負担を考えると、支援をしてくれるサービスを利用することも大切な判断です。
困った時には、躊躇せず支援を利用するようにしましょう。