児童発達支援・放課後等デイサービスは併用できるの?

チルプレ

チルプレ記事 2023.5.1

未就学の発達障害のお子さまには、さまざまな発達支援が行われています。
こうした支援は、併用できるのでしょうか?
今回は、児童発達支援の併用を考えた場合のメリットと、利用時の注意点についてまとめました。

併用できるが、注意すべき点がある

結論から言うと、受給者証の給付日数の範囲内で、お住まいの市区町村が併用を許可していれば、掛け持ちで利用できます。
ただし、いくつかの注意すべき点があります。順番にお知らせします。
なお、障害のあるお子さまの支援には、通所利用と入所利用があります。通所利用は、施設に通ってサポートを受ける方法で、入所利用は、施設に住み込んでサポートを受ける方法です。今回の記事は通所利用について書いています。

目次
児童発達支援・放課後等デイサービスは併用できるの?
発達障害のお子さまが利用できる施設
併用したい理由はなんでも大丈夫
どのくらいのお子さまが併用しているの?
複数の施設を利用するメリット
複数施設利用の注意点
お子さまにたくさんの居場所をつくりましょう

発達障害のお子さまが利用できる施設

発達障害のお子さまが利用できる通所施設には、次のようなものがあります。

児童発達支援センター

主に未就学の障害のあるお子さまのための通所訓練施設です。
発達障害に限らずすべての障害児のお子さまが利用できます。
現在は「福祉型」「医療型」という区分があり、発達障害のお子さまは「福祉型」に通うケースが多いようです(なお令和6年の法改正で福祉型と医療型という呼称は統合される予定です)。
なかには、相談支援や放課後等デイサービスなどの事業を行っているところもあります。地域の障害者支援の中心です。

児童発達支援・放課後等デイサービス

このほかに、児童発達支援や放課後等デイサービスを行っている支援施設がたくさんあります。
厚労省の資料(※1)によると、全国には児童発達支援センターが727ヵ所(うち福祉型は642箇所)ありますが、これ以外にも児童発達支援を提供する事業所があり、なんと9,625箇所(医療型を除く)もあります。
この数は年々増加しております。
※1厚生労働省「第3回障害児通所支援に関する検討会 児童発達支援センター等の現状等」

保育園・幼稚園・認定こども園

発達障害のお子さまも、通常発達のお子さまと同じく幼稚園などを利用できます。
どの程度の人数をどれくらいの頻度で受け入れているのかは園によって異なります。

児童館・児童クラブ

お子さまが小・中学生になれば、こちらも利用が可能です。

併用の理由はなんでも大丈夫

保護者が複数の支援施設を使いたいと思う理由はいろいろです。

– 平日は幼稚園などに通えるけれど、土日は児童発達支援事業所を活用したい。
– 児童発達支援センターに通っているが、地理的に毎日通うことが難しいため、近くにある別の児童発達支援事業所に通いたい。
– 仕事が遅くなることがあるので、幼稚園の後や放課後などに利用したい。
– すでに通っている支援施設があるけれど、定員の関係で通える日が限られているため、行けない日は別の事業所を利用したい。

などなど。
最近は、0歳児から保育園に通うお子さまが多くなりました。
その結果、保育園の方で発達障害の可能性を指摘されて児童発達支援センターに相談にくるケースも増えました。
また、保護者は生活のために働かないといけませんし、専業主婦(夫)だとしても「ほっとひと息つける時間」は必要です(3歳まではお母さんと!なんていう3歳児神話のある日本ではなかなか大きな声では言えませんが・・)。
複数の施設を併用できるなら、毎日の選択肢が広がりますよね。

どのくらいのお子さまが併用しているの?

では、実際にどのくらいのお子さまが複数の施設を併用しているのでしょうか?
児童発達支援センターを利用しているお子さまを対象とした調査によると、複数の施設に通っているお子さまの割合は次の通りでした。

児童発達支援センター利用者の併行通園の状況
児童の在籍先  保育所  幼稚園  認定こども園  児童発達支援事業所  そのほか  実数
人数 709 668 394 614 69 5,771
12.3% 11.6% 6.8% 10.6% 1.1% 100%

出所:日本知的障碍者福祉協会児童発達部会「令和3年度全国児童発達支援センター実態調査報告」より作成

調査対象のお子さま(5,771人、うち発達障害のお子さまは16.9%)のうち、児童発達支援センターとの併用は
– 児童発達支援事業所 10.6%
– 保育所 12.6%
– 幼稚園 11.6%
– 認定こども園 6.8%
でした。

保育所、幼稚園、認定こども園の数を足すと、児童発達支援センターを利用されているお子さまの約31%が、通常発達のお子さまと一緒に保育所などに通っていることがわかりました。
児童発達支援事業所との併用もおよそ1割いらっしゃいます。複数施設の利用は、一般的ではありませんが、選択肢の一つとなっているようです。

複数の施設を利用するメリット

複数の施設を利用すると、発達障害のお子さまと保護者にとってどのようなメリットがあるでしょうか?

①お子さまの発達をうながせる

複数の施設を使うことで、お子さまの発達が促進されるかもしれません。
支援施設と幼稚園の併用なら通常発達のお子さまとからの刺激も期待できます。
そうした他の子どもたちとの触れ合いや、センターや事業所で専門的なケアは、お子さまの成長にプラスの影響を与えるかもしれません。

もちろん、他の子どもたちとの交流が必ずしもすべてのお子さまに効果的とは限りませんが、一度試してみる価値はあるといえます。

②保護者がリラックスできる時間を得られる

発達障害のお子さまに限らず、小さな子供を持つ保護者にとって、子供との時間と自分の時間のバランスは難しいものです。
発達障害のお子さまを受け入れてくださる幼稚園・保育園は増えていますが、週に数日の利用を勧められることもあります。そうした場合に児童発達支援施設を併用できれば、お子さまをケアしてもらえる日を増やすことができます。
すでにどこかの支援施設を利用している場合でも、そちらに行かない日にほかの施設でお子さまを見てもらえるなら、家族の負担は減ります。
この結果、お母さん・お父さんに笑顔が増えて、家庭でのお子さまとの時間が充実するなら、お子さまにとっても良いことです。

③たくさんの情報を得られる

複数施設を併用することで、それぞれの施設から多くの情報を得ることができます。
お子さまの成長についての専門的なアドバイスももちろんですが、お子さまを複数の視点で見て頂けるという利点もあります。
たとえば、幼稚園や保育園の先生方から見たお子さまの様子と、支援施設の先生方から見たお子さまの様子の両方がわかるわけです。

チルプレでは、児童発達支援に通うことのメリットを
"児童発達支援に通所することで、保護者は子どもの障がいや特徴を今以上に知ることが出来、接し方、向き合い方の再確認ができます。”
出所:児童発達支援・放課後等デイサービス「チルプレ」
だと考えています。
いろいろな見方を知ることで、保護者自身も気づきを得られるかもしれません。
また、お子さまの良いところを知っている大人がたくさんいるということは、お子さまと保護者の自己肯定感を高めてくれると思います。そして、「みんなで子育てしている感覚」は、孤独になりがちな育児の頼もしい味方になるでしょう。

④いざという時のリスク回避

複数施設の併用は、リスク回避の点からも有効です。たとえば一方の施設が感染症の発生等でお休みでも、もう片方の施設を頼ることができます。
また、お子さまの様子や施設の活動内容に応じて、利用頻度の調整もできます。
お子さまが安心して過ごせる場所をいくつか確保しておく、ということは、何が起こるのかわからない育児において、とても大切な安全保障です。

⑤たくさんの人と出会える

2つの施設を併用すれば、お子さまと出会う人の数は単純に考えて倍になります。 そのなかには、お子さまに合う方もいれば合わない方もいるでしょう。
ですが、お子さまと保護者がリラックスして過ごせる相手というのは必ずどこかにいるものです。
複数施設の併用は、そうした方々と出会うチャンスを得るためにも、有効な手段です。

複数施設利用の注意点

ここまでは複数施設を併用するメリットについての話でしたが、いくつかの注意点もあります。

①利用できない自治体もある

自治体によって、複数施設の利用が制限されたり、条件が設けられたりする場合があります。
併用が可能かどうかは、児童発達支援センターや、発達障害者支援に特化した地域の窓口である「発達障害者支援センター」、または自治体の担当窓口で確認できます。まずは問い合わせてみましょう。

②利用日数は、受給者証の利用日数の上限以内

当然ながら、受給者証の利用日数の上限以内までしか利用できません。
たとえば仙台市については次の記事を参考にしてください。

放課後等デイサービスの利用日数の制限はあるの?

上限日数は、市区町村の窓口に相談して増やせる場合があります。

③同じ日に複数の児童発達支援・放課後等デイサービスは利用できない

児童発達支援と放課後等デイサービスについては、制度上、同日に複数の施設を利用することはできません。
別日に利用することは可能ですし(※2)、幼稚園や保育園の降園後に児童発達支援事業所に通うこともできます。
※2 仙台市の児童発達・放課後等デイサービス「チルプレ」「併用について」

④費用、登園準備、送迎などの負担は増える

もちろん複数施設併用にはデメリットもあります。
費用は多くなります。また、それぞれの登園準備と送迎も必要です。
ですが費用については自治体によっては補助が出ることがありますし、送迎してくださる施設もあります。チルプレでも送迎を行っています※3)。
※3仙台市の児童発達・放課後等デイサービス「チルプレ」「よくある質問/Q学校から教室まで、教室から自宅までの送迎はありますか?」

⑤お子さまご本人の気持ちを大切に

最後に、いうまでもないですがお子さまご本人がストレスなく過ごせるかどうかはもっとも大切です。運営方針や発達障害のお子さまの受入れ実績など、納得いくまで聞いてみてください。

お子さまにたくさんの居場所をつくりましょう

児童発達支援の施設を併用するメリットと注意点についてまとめました。
複数の施設の利用にはお子さまにもご家族にもメリットがあります。
ただし自治体の制度をよく確認することは大切で、費用や送迎の負担が増えることも考えないといけません。
お子さまご本人の気持ちに寄り添ったうえで、併用を考える場合は、お気軽にお問い合わせください。